犬の歯石対策は歯磨きでできるのか、結論を最初にお伝えすると、対策はできます。ただし、歯石が歯磨きで取れるか、と問われると答えはNOになります。歯石がつく前の対策は歯磨きでできるが、歯石がついてしまうと歯磨きではできないということですね。
ん?どういうこと?と思われるかもしれませんね。
これをお伝えしていくには、歯石がどういうものか、歯垢(プラーク)との違いを知っておく必要があります。また、歯石を放置するとどんな危険があるのか、歯石の除去方法はどんな方法があるのかをお伝えしていきます。
デンタルケアメーカー勤務経験者である筆者が犬猫の健康の為の情報発信をしています
歯磨きにできること
歯磨きにできることは歯垢の除去です。
皆さんよろしいですか、大切なことなのでもう一度いいます。
歯磨きにできることは歯垢の除去です!
もう大丈夫ですね(笑)
歯磨きしていれば歯石はとれますか?とよく聞かれますが、歯石は歯磨きで除去することはできません。歯石は歯に接着剤で張り付いているようなものなので、いくらゴシゴシ歯磨きをしてもとれません。
犬の場合、歯垢を放置すると3日~5日くらいで歯石に変化してしまうので、日々お口のケアをしていないとあっという間に歯石が溜まっていき、大きな石のような歯石ができあがってしまいます。
そういう意味では、歯磨きをしっかり続けることで、歯石が歯につかないようにする、ということはできるわけです。

歯垢(プラーク)と歯石の違い
歯垢(プラーク):簡単に言うと、細菌のかたまりです。犬の場合、食後約6~8時間で歯垢が歯に付着します。歯垢は歯磨きで除去することができますが、この細菌はバイオフィルムと言われるヌルヌルしたバリアのようなもので守られていて、細菌を完全に取り除くことは困難です。
お風呂場や水回りでヌルヌルしたところを触った経験はありませんか?あれと同じものがお口の中にできているのです。
歯石:歯垢が石灰化(細菌が死んで固まったもの)したもので、見た目も手触りも石みたいなものです。歯石になると歯磨きで除去することはできません。犬の場合は歯垢ができてから約3日~5日で歯石になります。これはなんと人の約7倍の早さです。このため、犬は人に比べて歯石がつきやすく、歯周病になりやすいのです。

歯石の危険性
歯石は放置すると危険なのか、歯石自体が悪さをするわけではないですが、歯周病になりやすいお口にになってしまいます。歯石は表面がざらざらしていて、歯垢や細菌がとどまりやすく雪のように積もっていき、やがてそこから歯肉に菌が入り、歯周病となってしまいます。
また、歯周病になるとそこから血管を通って菌が体内に入り内臓疾患を引き起こしたりします。
つまり、お口の健康=長生きの秘訣と言っても過言ではありません。
一昔前までは犬や猫のデンタルケアはそこまで注目されていませんでしたが、今は飼い主さんの健康意識が高まり、2,30年前とは犬や猫の平均寿命はぐんぐん伸びています。
愛犬、愛猫と健康に長く過ごすにはデンタルケアは必須項目と言えるでしょう。
歯石の除去方法
歯石がついてしまったらどうすれば良いか、気になるところですよね。
歯石取りのやり方としては主に3つあります
①獣医さんで処置してもらう
②サロンなどで処置してもらう
③ご自宅でスケーリング、口腔ケア用品などでケア
①が一番症状がひどく、③が症状が軽い子向けと考えてください。
今どのくらい歯石がついているか、歯周病が進行しているかの度合いによって変わってきます。目に見えるような大きな歯石がついている子はまずは獣医さんに相談しましょう。獣医さんに相談するか、悩まれる場合はトリミングサロンや、お近くのペットショップさんなどに相談してみるのも良いでしょう。
③のご自宅でのケアは、①,②で処置をしっかりしてもらい、その後歯石がまたつかないようにするためのケアです。ネットで検索すると、「歯石がポロポロ取れる」というような製品もでてきたりしますが、そんな都合の良いものはないと考えてもらって良いです。もしデンタルケア用品でそういう言葉をウリにしていたらあやしいのでお気を付けください。そもそも薬機法の制約でそういった書き方はできあませんしね。ただ、1ヶ月、2ヶ月根気よく続けることで歯石が剥がれやすくなる口内環境づくりを助けてくれるようなものはありますので、口腔ケア用品はちゃんと意味があります。
まとめ
一口でデンタルケアと言っても、やり方も対応することも様々です。歯石を取りたい、という方が歯磨きを一生懸命やっても歯石は取れないということはこの記事を読んでいただければわかると思います。大切なのは、その子にとって適切な処置方法を選び、再発しないようにしっかりとケアを続けていくことです。
お口の健康=長生きの秘訣と書きましたが、大袈裟ではなく私はまじめにこう思っています。
大切な愛犬、愛猫と一緒に長く過ごすためにもデンタルケアに取り組んでみてはいかがでしょうか。少しでも皆様の為になるよう、私も情報発信していきますので、おすすめのケア用品や、ケア方法の記事も読んでみて下さいね。
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